Netflix、FODで配信されている「あいのり Asian Journey SEASON2」が
2019年3月28日の配信をもって全22話が完結しました!
今回はそのレビューになります。
今回の「あいのり Asian Journey SEASON2」は色々な意味で問題作です。
故に当記事の内容、構成としてもだいぶ「批判寄り」になる側面が強いため、その旨予めご了承頂けますようお願い致します。

目次:お好きなところからどうぞ
あいのりとは
ピンクの“ラブワゴン”に乗り、
出典: あいのり Asian Journey SEASON2 - オフィシャルサイト
見知らぬ男女7人が真実の愛を探す、地球無期限の旅。
アジア各国の旅の続きを見守るのは、ベッキー、いとうあさこ、夏菜。
引き続き、ラブワゴンは、アジア各地を巡り、新しいストーリーを描きます。
今回も旅のおきては、告白してOKならキスして帰国、NOなら一人で帰国。
果たして真実の愛を手にすることは出来るのか!?
あいのり遍歴
まず最初に私のあいのり遍歴を軽く述べておきます。
あいのりを視聴し始めたのは、サッカーの中田英寿選手に似ていることで有名な「ヒデ」が旅をしている途中のところからだったと記憶しています。
不器用ながらも複数の女性との恋の駆け引きを繰り広げ、視聴者の興味を大いにそそる姿に私も面白さを感じ、以降あいのりを見続けています。
惜しくもテレビ放送は終了しましたが、その後もネット配信でのシーズンやキャラが強烈だった「やまじ」にフューチャーした特番など、今まで配信されたものは余すことなくほぼ全て視聴しています。
そんな私が視聴した今回の「あいのり Asian Journey SEASON2」。
今までのあいのりの中でもかなり異質の存在であり、かつ違和感を覚えたので同じような感想を持った読者の方も多いのではないでしょうか。

でっぱりんが主人公
では本編について、初っ端に以下を明確にしておきたいと思います。
「あいのり Asian Journey SEASON2」の主人公は「でっぱりん」です。
でっぱりんの
でっぱりんによる
でっぱりんのための
『あいのり Asian Journey SEASON2』
です。
私は今シーズンを配信開始当初から毎週視聴していたのですが、これに気づくまで相当時間がかかりました。
(というより終盤までわかっていなかった)
前シーズンのメンバーであり、特集まで組んでカップルなったでっぱりんが再度メンバーとして参加している、という時点で察するべきだったのかもしれません。
ですが、今回は同じく前のメンバーである「トム」や「ユウちゃん」も参加していたため、制作側としても気づきにくいように工夫していたと思います。
制作側がどの時点から「でっぱりんを主人公にしよう」と意図していたのかはわかりません。
オーディションで選んだ時点なのか、ロケをしている最中なのか、旅が終わり編集している中でなのか視聴者側としてはいくら想像しても答えが出ないところではあります。
しかし、今回は明らかに「でっぱりんを主人公にしよう」という意図があって構成されていることは明白です。
旅の途中で前シーズンで活躍した「シャイボーイ」が、でっぱりんを励ます目的でロケ先へ来ているため、ロケ開始時か少なくとも中盤でそう決まっていた可能性は高いです。

なぜ今シーズンを配信したか
なかなかキャッチーな見出しになってしまいましたが、そう言わせるほど今シーズンはかなりの問題作になっています。
というのもすべての根本はでっぱりん。
他のメンバーは至って平凡、ドラマはいくつかあるものの普通に恋をして帰っていったと思います。
ですがでっぱりんという女性が大暴れし、メンバーを罵倒、暴力を振るい、あやうく警察沙汰になるところまで発展。
挙句の果てにはメンバーの一人「トム」を、PTSDのような強いストレスで精神的ショック状態に陥らせ、一時は旅の継続が困難になるところまで追い込みました。
また、一度ならず二度三度彼女は怒りを爆発させ、メンバーを飛び越えスタッフまでにもその猛威を振るいました。
あまりこういう表現は使いたくありませんが「普通の感覚」であれば、あれらの言動を見て不快にならない視聴者はいないはずです。
事実、その問題の回が配信された直後はTwitter等で、でっぱりんに対する批判の声で溢れていました。
私自身も視聴中見るに堪えない気持ちになり、その後も思い出して嫌な気分になったくらいのレベルです。
私は当初思いました。
なぜこれを配信するのかと。
確かにインパクトの強いキャッチーな映像です。
世に出せば話題になるのはほぼ間違いありません。
ですが、それは悪い意味でです。
悪人が犯罪を犯して有名になるのとほぼ同義。
でっぱりんの今後の人生においても良い影響があるとは思えません。
(というか既に実害出てるんじゃないですかね)
こんなことまでして視聴率を稼ぎたいのか。
今後の回の視聴は中断しようか、等と考えたときもありました。
しかし冒頭で述べたように、「でっぱりんが主人公である」ということに気づいた時なぜこのような問題作を配信し、その後も続けたのかがわかりました。
きっと制作側は「でっぱりんを主役にした恋愛ドラマを描きたかった」のだろうと思います。
確かに彼女の悪行が目立つ回を切り取れば、目を覆いたくなるような惨事が繰り広げられています。
しかしシーズン全体を通してみてみると、その後は数々の男性に恋をし、失恋。
昔の仲間に勇気づけられ、「真実の愛」を見つけたという形で「じゅんき」に告白し成功するという一見感動を誘うストーリー展開になっています。
「台本がある云々」の話はここでは話が脱線しますし、本来述べたいことではないので触れません。
ですがこの映画やドラマのような構成を配信当初から計画していたため、当時すごかったであろう制作側への批判もなんのその、最終回まで配信したのだと思います。
要は
「お前らここで騒ぐな、これが踏み台になって更に面白い展開になるから見ておけ」
という制作側からのメッセージが隠されていたんだと、私は深読みしました。
以上が今シーズンにおけるでっぱりんが主人公である、と前置きした上での考察です。
他のメンバーにも焦点があたり、それぞれ感動的な恋愛模様もありました。
ですが前述までの通り、でっぱりんの存在感とそれを中心とした番組構成になっているおかげ(せい)であまり印象に残っていない、というのが正直な感想です。
そう考えると一番の被害者はトムだけではなく、彼を含めた他のメンバー全員なのかもしれません。
あいのりでは「やまじ」の前例にもあるように、際立った個性がある人間を見つけるとフューチャーし主役に立たせる傾向があります。
ですが、彼女の場合はそこまで攻撃的な性格ではないためあくまで珍妙な言動が面白く、他人を極端に不快にしたり迷惑をかけたことはなかったはずです。
ですが、今回はでっぱりんの個性が悪い意味で強すぎたため、特に悪目立ちしてしまった結果になったと思います。
全体を通し視聴した上で、制作側の意図もわかりましたがやっぱりこの構成は失敗だったのではないか、という感想が拭えません。
事実、私自身がでっぱりんが大暴れした後は「ヤバイ人間だ」という意識でしか見れなくなりました。
その後トムと和解しようが、誰と恋に落ちようが、どんなに綺麗に感動的に描いても一度「ヤバイ人間」というレッテルを貼ってしまった以上、それが剥がれることはなく終始「ムカつく」以外の感情が生まれませんでした。
(あーまたでっぱりん他の人に恋してるなー、「でもヤバいヤツだからね」、あートムと和解したんだー、「でも本当はヤバいヤツだからね」という感想が常について回る)
恋愛バラエティ番組とは、他人の恋愛模様を第三者視点で見るのも楽しみ方の1つです。
自分がこの場にいたら、と自己投影する経験は誰しもがあると思います。
そんな中暴走し、自分以外の意見反論はことごとく聞き入れず、地雷の如き人物が、同じラブワゴンという車内で過ごすことになったら萎縮するに決まっています。
一般的な共感能力がある人間ならば、誰しもこの感覚に陥ったはずでそれが今シーズンにおける炎上に繋がったのだと思います。
意地悪な言い方をすると
「みんなが萎縮して恋愛しづらい状況になっていても、でっぱりんの面白さを優先した」
という判断を制作側がした、ということになりますからね。
番組側に言いたいことは、これが「話題になった、しめしめ」と思っているのであれば大きな勘違いです。
早急に認識を改めたほうがいいと思います。
あいのりブランド、なんていうものがあるのかわかりませんが、それが失墜する大きな要因になってしまっています。

シャイボーイ
でっぱりん繋がりで行くと、特筆したいのは前シーズンで活躍し、応援で駆けつけた「シャイボーイ」。
同時期メンバーだった「かすが」とカップルになり帰国した彼。
あいのりの中では愚直でモテるタイプではなく、頑固で癖が強いため合流当初、個人的にはあまり好きになれるタイプではありませんでした。
ですが、恋した「かすが」に対し色々と奮闘し特技の歌とギターを披露した時はそのシチュエーションも相まって、少なからず感動したことを覚えています。
配信終了後、彼のYouTubeチャンネルを見に行くくらいにはファンになりました。
で、今回はでっぱりんの応援という体で出演したわけですが、これには私のような視聴者に対するファンサービスとしての意味も含まれているのでしょう。
やはりあいのりメンバーのその後は気になるものですし、好感度の高い、見たことがある顔が出てくるとあれば注目度は増すからです。
ただ今回彼は彼女のかすがと共に出演し、でっぱりんの元に現れその道中カップルらしく、いかにも「ラブラブ」という雰囲気を出そうとしていました。
しかしその様子があまりに不自然で、少々きついものがありました。
いや別に見るに堪えないレベルではないのですが、彼らの人間性なのか恋愛経験がないが故なのか久しぶりのテレビで緊張しているのかはわかりません。
ですがちょっとお粗末な演技?だったので仮に制作側の要望だったのだとすると、もうちょっと自然な姿の「その後の彼ら」が見たかったです。

MC陣のバランスの悪さ
これは毎週各回を視聴する毎に思っていたのですが、今シーズンはMC陣の人選とトークが特に残念だったように思います。
ベッキーさん、いとうあさこさん、夏菜さんのお三方。
決定的に「あかん」と思ったのは、それまでほとんど焦点のあたっていなかった
「じゅんき」が、でっぱりんに恋されたことでフューチャーされ最終的には「世界中が恋するいい男」とまで評する始末。
存在感がなかった頃、たまに名前が出てくるとお決まりのいじり「誰だっけ?」と言っていた頃と比べるとその手のひら返しっぷりは見ていて失笑ものでした。
あいのりでは恋愛に対して積極的に動いている、または積極的に動かれているメンバーに焦点があたる傾向があります。
それ以外のメンバーというのは取り上げにくいですし、MC陣もまた触れづらいというのは重々承知しています。
ですがもうちょっと上手い言葉選びや、触れ方はなかったのかなという印象です。
前シーズンのオードリー(若林、春日)がいた時代が懐かしい。
彼等は恋愛経験少なめ、という体で的確なツッコミや独自の視点を持ってトークしていたので視聴者側としても共感を得やすく、芸人なので当然笑いの要素もありました。
メインMC三人の女性が、同じような意見を声を揃えて言うのでそのへんの女の子が、あいのりを見て感想言ってる光景を延々見させられているようで、MCってこれでいいんだっけ?と思ったのが素直な感想です。
(色々難しいんでしょうけどね…)。
特にベッキーは過去に色々あったので、もうちょっとその経験を活かした個性を出すか毒を出すかを期待していたのですが、ツッコミやイジる人が不在のため終始「一般的な女子」としての意見を垂れ流し、前シーズンに比べて存在価値が大幅に下がってしまったのが残念でなりません。
ゲスト枠
そしてもう一つ。
ゲスト枠で来ていた頻繁に入れ替わる、イケメン男性タレント。
いやこんな事を言うと、彼らのファンにすごく怒られそうなのですが本当に誰かわからないし、知る気もないんですよ。
(彼らが悪いのではなく、起用の仕方に問題があるということです)
MCの男女のバランスをとるためにゲスト枠という形をとったのでしょうけど、マジで存在理由がわからなかった。
こういう恋愛バラエティ番組のMCって、「誰がどの立場でどういう意見を言うか」っていうのがすごく大事なわけですよ。
前述したオードリーもそうですが、後述する別番組の「テラスハウス」でも徳井さん、YOUさん、やまちゃん(山里さん)はそれぞれ認知度も高く視聴者側としてもどんな人物なのか、どんな恋愛遍歴を持っているのかをわかっているから
各人の意見が面白く、本編の内容がより一層引き立つわけです。
更に前述したようにゲストが頻繁に入れ替わるから、過去の発言の引用とかもできない。
シリーズを通して、これこれこういう出来事があったから、という視点を持って意見やトークするのが面白いのに、その流れを制作側がバッサリ断ち切ってしまっているので積み重ねもなく、単発でその時見たVTRの感想を言って終わり、という流れが終始続きました。
見てる側としてはいらんのですよ、そんな時間。
今回のMC陣にはそういった相乗効果がまったく見られなかったのが、非常に残念です。
新シーズンがあるとするならば、今回の失敗を反省してメインMCは2人、男女で知名度とトーク力がある人にしてください。
いち視聴者としてお願いしたい部分でもありますし、MCのトークの良し悪しは番組全体が面白くなるかどうかの肝でもあるので、そこに気づいてほしいです。
(というか気づいてますよね?)
テラスハウス
前項でもちょろっと触れましたが、ご存知「テラスハウス」。
あいのりよりも歴史は浅いですが、放送開始当初から爆発的な人気となり今では日本を代表する恋愛バラエティ番組まで上り詰めています。
恋愛バラエティ番組を語る上で、外すわけにはいかない存在です。
この番組が成功した理由は色々あると思いますが、大きく2つあって、1つはバラエティのゴチャゴチャ感を排除してスタイリッシュでオシャレに演出することを徹底したこと。
もう1つはMC陣の人選です。
徳井さん、YOUさんを始めとする恋愛経験豊富な方々。
そこから繰り出される切り口の鋭い観点からの意見。
そしてやはり「天才山里亮太」の存在は切っても切り離せません。
彼がいるからテラスハウスを見るという視聴者も相当数いるんじゃないかなと思います。
極論的だったりするため、色々批判もあるかとは思いますが間違ったことは1つも言っていないので、賛否両論含めてそれがまた話題になっているのですよね。
あいのりも確実にテラスハウスを意識しているはずです。
オシャレさとかスタイリッシュさは持ち味ではないので、人間味、人間力を売りに出そうとした結果、今回のようなでっぱりん主人公の構成でドラマチックにしようとしたしたのではないかと思います。

とにもかくにもMCを含め、出演者側に罪はないのでテラスハウスを見習って、適切な人選を今後はしていただきたいと思います。

「あいのり Asian Journey SEASON2」が異質である最大の理由|まとめ
長くなりましたが、これにて「あいのり Asian Journey SEASON2」のレビューを終わりたいと思います。
全編通してほとんど「でっぱりん」の話題でしたね。
これが番組側の意図であれば、そういう意味ではまぁ上手くいったのかもしれませんが私としてはでっぱりんの今後の人生が不安で仕方ありません。
(私ならあんな失態を全世界に晒したら恥ずかしくて生きていけない)
いやホントに明るく前向きに、人に迷惑をかけず頑張って生きてほしいと切に願います。
締めの感想としてどうかとは思いますが…この辺で。

あいのり次期シーズン
あいのりの次期シーズンが「あいのり:African Journey」として制作されることが決定したようです。
配信は2019年秋とのこと。
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