2019年2月2日から4月27日までの間に、全13回で配信された「いきなりマリッジ」シーズン2。
遅ればせながら、2019年9月に私も視聴しましたので今回はそのレビューとなります。
また「シーズン1」のレビューは少し前に公開しています。
今回「シーズン2」のレビューはこの「シーズン1」のレビューを元にしていますので、そちらをお読みいただいてからのほうが、より記事を楽しめると思います。
また「シーズン1」を視聴し終えた段階では、「シーズン2」の視聴及びネタバレや後日談などは一切見ていない、としていますが今回はネタバレ、後日談などもチェック済みとなっています。
このレビューではその辺りも触れていきたいと思います。
それでは早速レビューに参りましょう!
目次:お好きなところからどうぞ
番組の構造

番組出演者やカップルにフォーカスしてレビューする場合、時には人格否定に繋がるような発言も出てしまう可能性を捨てきれません。
私としては番組内であった彼らの言動について、できる限り尊重したいという想いがあります。
そのためこの番組のレビューにおいては各「出演者」に対する細かいレビューはせず、「番組」自体に対するレビューを行っていきます。
なお、以下の内容は前回「シーズン1」のものをそのまま踏襲したものが多く、比較や改善(改悪)されたか、などの視点をもって見ていきたいと思います。
番組全体の「雰囲気」

出演者が変わると、ここまで雰囲気が変わるのか!
と驚かされるほどシーズン1と比べて雰囲気が一新されました。
もちろん良い意味でです。
シーズン1は言ってみれば曇り空のようなどんよりとした空気。
シーズン2は爽やかな青空のような清涼感がありました。
これは非常に良い改善点だったと思います。
おそらくシーズン1終了後、私も感じた「雰囲気が暗い」という視聴者からの意見が多数あったのか、もしくは番組制作側も実感していたところだったのかもしれません。
1よりも2のほうが面白いってなかなか稀有な例ですよね。

雰囲気が変わった理由として「ヤスオ&エリカ」「ユウタ&カナ」どちらのカップルにも言えることですが、コミュ力が高い。
それぞれがお互いを思いやって行動しているのが伺えますし、会話の内容もいろいろ考えられた上での発言だったので、見ていて共感できる部分が多かったです。
シーズン1のときは出演者が一癖も二癖もある人が多く(それはシーズン2も同じですが)、何を考えているかわからない、余計な一言が多い、揚げ足取り、友人がしょうもない、など不快に思う点が多くありました。
シーズン2ではそういったシーンがほとんどなかったので、非常に見やすかった印象です。
振り返りや回想シーンが多い

「シーズン1」のレビュー時にも挙げました。
正確な時間を計測して比較したわけではありませんが、視聴する上での体感としてだいぶ改善されたのではないかと思います。
番組が後半に進むにつれ、カップル同士の会話というのも振り返ることが多くなりますので、そこを補完するために回想シーンというのが多くなりがちです。
そこはシーズン1と同様でしたが、いずれも短めでくどく感じることはあまりありませんでした。
「別れるのが前提」ということを忘れがち

これも「シーズン1」のレビュー時にも書きました。
結婚をゴールにはするけども、番組の前提として「別れるのが当たり前」これはやはり普遍の真理です。
シーズン2でもやはり2カップルとも「別れ」を選択したということで、感想としては「あぁやっぱりか」となってしまいます。
「夜の営み」について

シーズン1の時「番組側から禁止されていないのか」と書きましたが、シーズン2で確定的なシーンがありましたね。
ヤスオの友人がスタッフに聞くシーンで、「番組側からは特に禁止していない」と。
前回のレビューでは「結婚する前に相性を確かめておくことは非常に重要」と書きました。
今でもその考えは変わることはありませんが、シーズン2を通してみて思ったのは「この状況下でそれをするのは普通ありえないな」ということです。
特に今回、女性側のエリカ、カナからはしきりに「愛が欲しい」ということで、具体的なスキンシップや行為をほのめかすアプローチがありましたが、結局2カップルともその段階までは進まず。
冷静に考えてみると、仮に自分がカップルの男性側として参加した時、実際にそんなことができるかという話です。
番組企画だから、カメラがいる生活だから、というのももちろんあります。
それ以上に、やはり男性側としては「既成事実」が何よりも怖い。
今回ヤスオがそれに近い行為「キス」を観覧車で試しにしてみて、エリカを女性として意識するかを試してみた、というシーンがありましたが、仮にそれを性行為でしたらどうでしょう。
晴れて女性として意識することができたら良いのですが、もしできなかったら…。
最終日に「別れる」という選択をしたら。
女性側からはもちろん、番組視聴者からも批判の声が上がることは目に見えています。
つまり、男性側からすると番組内でそういう行為に及ぶことは「割りに合わない」ということになってしまいます。
同時に「結婚前に相性を確かめることは重要」は前提としてありますので、「いきなりマリッジ」を通しての結婚は不可能に近い、という結論になります。
「年収」表示について

前回のレビューでは「年収が頻繁に表示されることで、それが『人の格』のように感じ、視聴する上で邪魔になる」という感想を書きました。
番組側もそれに気づいたのか、何度か表示はあるものの頻度としてはかなり減っていたかと思います。
おかげで各出演者の年収、というステータスを余り気にせず見ることができたので良い改善点だったと感じています。
一部スタッフの説教じみたインタビュー

これは批判です。
番組の要所要所で、その時感じたこと思ったことをスタッフが出演者にインタビューするシーンがあります。
そのシーン自体は、出演者の言動について真意を聞き出すことができるため、非常に有意義なものだとは思うのですが…。
このインタビューの際、一部スタッフが説教じみたことを言っているのが非常に気になりました。
具体的に言うと、ヤスオへのインタビュー。
確かにヤスオの持つ感覚というのは、一般的なものから少しズレているように感じるものがいくつかありました。
私としてもそう思いましたし、「これは結婚するのはなかなか大変そうだな」と感じたのも事実です。
ですが、それを指摘しダメ出しするようなことをスタッフが言うのは違うのではないでしょうか。
この番組が「結婚できない男女が更生のために共同生活する」という趣旨ならわかりますよ。
でもそうじゃないですよね。
あくまでのありのままの自分を出し切って、その上で結婚できるかを判断する番組なわけですから、多少思うところがあろうとそれを指摘・ダメ出しするのは根本的に間違っています。
特にヤスオに関しては、全編通してそのような傾向があったので非常に不快でした。
もし次のシーズンがあるのなら、インタビューするスタッフは聞き役に徹し余計なアドバイスをしないようにお願いいたします。
壮大な人体実験

これが一番今回のレビューで語りたいことかもしれません。
なかなかセンセーショナルな見出しではありますが…。
「いきなりマリッジ」の面白さはその企画の持つ斬新なコンセプトにある、私は前回のレビューからこのように言っています。
同じ様に思っている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
確かにそれは事実ですし、ゆえに人気番組になったと思います。
ですが「なぜ斬新なコンセプトなのか」というのはあまり考えたことがありませんよね。
よくよく考えてみると、「斬新なコンセプト」というのは少し間違った表現だということに気づきます。
「いきなりマリッジ」の企画はみんなは一度は思いついたことがあるけど、誰もやらなかった企画
これが正しい表現です。
なぜ誰もやらないのか。
それはやる前から無理だ、と薄々わかっているからです。
シーズン1、2の結果が証明しています。
恋愛を通して結婚(お見合いとか例外はありますが)という通常の流れを無視し、いきなり結婚という体から始めるのは無理だろう、ということは誰でも少し考えればわかることです。
それを爽やかな演出とバラエティ番組の雰囲気、というラッピングで包んで見やすくした企画、それがこの「いきなりマリッジ」というわけですね。
見出しにもある通り、これはいわば「人体実験」の1つでもあるわけです。

参加するに当たって、出演者と番組側は様々な取り決めや契約を交わしたことでしょう。
おそらく「この番組を通してなんらかの精神的な害を被っても、番組側は責任を持たない」的な取り決めも交わしているはずです。
互いが合意の上で出演したわけですから、それを外野からどうのこうの言うのは違うとは思いますが、だからこそ番組側には慎重に進めていただきたい。
見知らぬ相手といきなり共同生活が始まり、1ヶ月後には結婚するかどうかを考えなくてはならない。
相手のことを知ろうと努力し、悩み苦しみ自省する。
最初は他人でも1ヶ月も同じ屋根の下で暮らしたら、情も湧くでしょう。
そして結婚したいとまで思えるレベルまで高まったエリカやカナ。
最終的には成立しなかったわけですが、その時の2人の心境を思うと…ちょっと想像を絶します。
正直「仕方なかったね」では済まないレベルかと。
そのくらい精神的な衝撃を受けることを番組側はもっと自覚していただいて、次シーズンがあるのなら番組制作に取り組んでもらいたいところです。
まぁ、ここまで私が言うのには理由がありまして。
それは次の項で話します。
後日談「とある出演者がカップルになった」

目次の段階でネタバレするのはさすがに興ざめするだろう、ということでぼかした見出しにしています。
この番組のファンの方ならすでにご存知でしょう。
「シーズン2」の出演者であるエリカとユウタが交際していると、本人たちから報告がありました。
これまた結果論になってしまいますが、番組側が最適だとして選出した2組のカップルは実は全然最適ではなかった、ということですよね。
そしてこの2人が付き合ったということは、やはり結婚というものは交際期間を経てするものだということを裏付けていると思います。
エリカもユウタも番組に参加した上でそのコンセプトに共感したのであれば、お互いがどんな人物なのかは番組を通じてわかっているわけですから、それこそ「いきなりマリッジ」するという選択肢もあるはずです。
ですが2人はそうしなかった。
シーズン1からの4カップルが最終的に出した選択、そして後に別カップルの出演者同士が交際を始めた、という事実がこの番組の結論を物語っているのではないでしょうか。
「いきなりマリッジ」シーズン2視聴後の総評
以上が「いきなりマリッジ」シーズン2を視聴した上での感想となります。
レビューの内容自体はだいぶ批判寄りになってしまいましたが、視聴中は面白く見ることができました。
ただやはりそれは「野次馬感」からくるもので、自分の立場に置き換えてみると笑えないな、と気づくことになります。
「倫理観に欠けている」はちょっと言いすぎですが、それに近いギリギリのコンセプトがこの番組の売りだったわけですが、結果として「誰もが無理だろう」と感じていた裏付けが皮肉にもとれてしまった形です。
シーズン3の話は今の所聞こえてきませんし、おそらく番組側も限界を感じていると思います。
その証拠となるのが「いきなりマリッジ」のスタッフが始めた新番組「さよならプロポーズ」。
ある意味「いきなりマリッジ」に見切りをつけた、ということですよね。
結論として言えること。
それは
特に男性側、「恋愛」という感情を相手に対して早い段階で抱かないと、そこからいくら日にちが経過しても「結婚」にはつながらない。
というわけで、私のレビューはこの辺りで終わりたいと思います。