今回は、2017年に公開された映画「亜人」を視聴しましたので、そのレビューを書いていこうと思います。
ちなみに原作未読です。
そのため、視聴中疑問に感じたことやツッコミどころについては原作では描画があるのかもしれませんが、その旨予めご了承ください。
未視聴の方、ネタバレを避けたい方はここで読むのを中止することをオススメ致します。
目次:お好きなところからどうぞ
映画「亜人」とは
2017年9月30日より全国東宝系にて公開。主演は佐藤健、監督は本広克行。主人公・永井や敵対する亜人・佐藤の年齢を演者に近い状態にするなど、実写に最適化された設定変更が成されている。
出典:亜人 (漫画) - Wikipedia
アニメ版で曽我部役を演じていた声優の鈴村健一の弟・鈴村正樹がアクション監督補佐を担当している縁から、鈴村健一が本作では俳優としてアナウンサー・岩清水憲明役を演じている。また、永井役を演じていた宮野真守が本作では永井のIBMの声を担当しているほか、佐藤役を演じていた大塚芳忠が本作ではテレビCMのナレーションを担当している。 さらに、作中では大林宣彦と大森一樹、YouTuberのHIKAKINがカメオ出演している。
キャッチコピーは「絶体絶命を、生きろ」「DEAD and ALIVE」「命を繰り返す新人類のエンドレスリピートバトル」「亜人は 命を 繰り返す」
永井圭(演:佐藤健)
彼の男前ぶりが遺憾なく発揮された作品でした。
演技力も文句なしですし、アクションも映画「るろうに剣心」でお墨付き。
今回もギリギリでスタイリッシュな、カッコいいアクションを魅せてくれました。
本作を彩る「男前俳優」の筆頭ですね。
また物語の最終局面では、その肉体美を披露します。
男から見ても「おぉ、すごい身体」とは思いますが、見せ方が若干露骨すぎる気もします笑。
まぁ「佐藤健」さん目当てに観に来ている女性ファンも大勢いると思いますので、そこへのファンサービスということでしょう。
後述しますが、この作品は続編も考えられているでしょうから、彼の今後の活躍に期待です。
佐藤(演:綾野剛)
調べたら「佐藤」って下の名前は設定されていないんですね。
映画内でも苗字しか呼ばれていなかったので、妙だとは思いましたが。
綾野剛さんの怪演、見事でしたね。
主張していることは一見正論なのですが、腹の中にある狂気を抑え切れないあの雰囲気、さすがは今をときめく一流の俳優さん、という感想です。
キレッキレの動きと、ショットガンの捌き方鮮やかでした。
メチャクチャ洗練された動きだったので、特別な訓練を受けたことがある人間なのでしょう。
また、前述の「佐藤健」さん同様、彼も肉体美を披露しています。
綾野剛さんは本作のもう一人の主役でもあるので、当然といえば当然かなと。
女性人気も凄いですしね。
永井同様、続編での登場も当然あるでしょうからまた活躍してもらいたいものです。
ストーリー
佐藤による永井の救出
物語は「ある人物」が、政府の研究機関に捕らわれ非道な人体実験を受けている場面から始まります。
包帯でぐるぐる巻きにされているため、一見誰なのかわからないのですが後に交通事故で「亜人」だと発覚した主人公「永井圭」だとわかります。
その後「亜人」の佐藤と田中が突入。
警備員全員を皆殺し、永井に「亜人の未来のために戦おう」と仲間に誘います。
が、永井はそれを拒否。
銃をぶっ放して佐藤を殺します(不死身なので死にませんが)。
「君はとんだ期待はずれだ!ぶち殺してやる」とキレる佐藤。
その後ドンパチを繰り広げ、永井が「幽霊」と呼ぶ能力を発動させます。
(原作だとIBMと呼ぶらしいです)
ここのアクションは見事でしたね。
CG満載ですが違和感なく、圧倒的な迫力です。
決着はつかず、永井は離脱。
佐藤は田中と共に報道陣の前で「政府による人体実験」を公表し、「亜人の人権」と「特別自治区」の容認を政府に訴えます。
永井の妹の存在
妹はとある病気で入院中。
そんな中「亜人」田中の能力の幽霊が、妹を拉致しようと病院を襲撃します。
ですが、その場にいた政府側の亜人「下村」も幽霊を発動して応戦、難を逃れます。
佐藤との戦闘後、離脱した永井は山中で老婆にかくまってもらっていたのですが、テレビで妹の事件を知り、病院に向かいます。
病院の屋上の妹を呼び出した永井は、妹を連れ再び山中の老婆の元へ戻ります。
佐藤 VS 警視庁特殊強襲部隊「SAT」
佐藤は亜人公式サイトから仲間を募集します。
そして「厚生労働省」を攻撃すると宣言。
事件当日は宣言された時間まで何事もない様子ですが、飛行機をハイジャックした佐藤が、厚生労働省のビルに突っ込みます。
「スリル満点だねぇ」
そこへ警視庁特殊強襲部隊「SAT」が到着。
最初は「佐藤が動けないよう殺し続ける」という戦略で上手くいきかけるものの、「亜人」田中の別のビルからの援護射撃でSATを撹乱。
あとは百戦錬磨の佐藤の独壇場。
ナイフとショットガンでバッタバッタとなぎ倒し、
「20日後までに東京都を明け渡して亜人特別区にすること」
を政府に要求します。
もし従わなければ「特殊神経ガスを散布する」と脅迫。
焦った政府は苦肉の策として「九州か北海道の離島のいづれかを特別自治区にする」 と和解を求めますが、佐藤はそれを一蹴。
最終決戦
政府は自衛隊の精鋭「対亜特選群」を設立。
政府の要人「戸崎」の元を訪れた永井は佐藤を倒すための協力を申し出ます。
交換条件として
「妹の保護」と「自身に新しい身分を用意し、以後捜索しないこと」
を要求すると「話はわかった、だがこれだけは言わせてもらう」と戸崎が一言。
「私の名前はとざきではない、とさきだ」
「神経ガス」があるフォージ製薬に佐藤達が必ず来ると予想する永井。
永井のプランを主軸に秘書室に罠を張り、武器を持って強襲する田中達を一網打尽にします。
佐藤本人は自ら破砕機に飛び込み、ミンチ状態。
「亜人」がバラバラになると、一番大きな体の一部を元に再生する特性を活かし、佐藤が田中に「お守り」として持たせた自らの腕を元に、フォージ製薬に瞬間移動した佐藤は、あっさりと神経ガスを手にします。
佐藤は神経ガスをばら撒くため、フォージ製薬の屋上へ。
気づいた永井も慌てて追いかけます。
そして互いの戦闘スキルを駆使し、神経ガスを奪って奪い返して、熾烈なバトルが繰り広げられます。
佐藤に圧倒される永井は、あわや絶体絶命のピンチ!
と思いきや、上空より現れた「対亜特選群」が突入し、永井もろとも佐藤を瞬間凍結。
カチコチになった両名の頭に銃をぶっ放し、粉々に。
事件は収束したものの、永井まで死んでしまったと思われたその時、戦闘時に切断された永井の腕を元に、再生が始まります。
全身裸で蘇った永井はまるでアーノルド・シュワルツェネッガー演じる「ターミネーター」そのもの。
「亜人」特有の粒子をまといながら、いきなり走り出した永井はビルの窓を破り、そのまま落下していくのでした。
そしてその後、佐藤らしき手がハンチング帽を拾う描写。
続編を仄めかしながら、終幕です。
感想
以降、思ったこと、気になったところを列挙します。
切っては巻いて、切っては巻いて
永井が冒頭で人体実験されている場面。
結構ショッキングな場面なのですが、腕とか肩とか切断してるのに包帯ぐるぐる巻きにする意味ってなんなのでしょうか。
再生する度に包帯巻いてるの?
キレる佐藤
永井救出後、仲間に入ることを拒否られ、殺された佐藤はキレちゃうんですが、この場面にちょっと違和感。
「君はとんだ期待はずれだ!ぶち殺してやる」
人間に復讐する計画って普通に考えたらかなりヤバいと思うので、永井も簡単には賛同しない、くらいのことは佐藤は想定していなかったのでしょうか。
あと「ぶち殺してやる」っていうのは死なない「亜人」に対する皮肉?笑
単なる脅し文句の一種かもしれませんが。
永井、バレるって!
妹を助けるため、事件後初めて公の場(病院)に姿を現した永井ですが、ちょっと変装がずさん過ぎやしませんかね…。
キャップを目深に被るだけでは、結構危ないと思うのですが。
「亜人」として全国に顔が晒されているんですから、マスクくらいして欲しかったです。
病人を連れ回す永井
まず最初に疑問なのが「妹が何の病気か不明であること」。
この辺りはきっと原作に描写があるんでしょうし、続編で明らかにされる可能性もあります。
で、「亜人」に襲われた妹を救出に向かった永井ですが、かくまってもらっている老婆の元まで山中連れ回した挙げ句、数日間そこで過ごすという始末。
いや、入院しないといけない病気って結構重病だと思うんですけど…。
確かにあの状況なら病院は危険だ、と思うのは当然ですが、あんなド田舎に素人が病人を連れ回すほうが、よっぽど危険なんじゃないかと感じてしまいました。
HIKAKIN必要?
本作にはあのYouTuber「HIKAKIN」も出演していると、本人も自身の動画内で言っていたため、それを期待して視聴していました。
実際にHIKAKINが登場したシーンは2回。
「亜人特別区」とは何かを説明する動画のシーンと、佐藤が「東京に神経ガスを散布する」と宣言した後「ヤバいので逃げます!」という動画のシーン。
まぁちょっと面白かったのですが、わざわざあそこでHIKAKIN出す必要ありますかね?
あと、別にHIKAKINの熱狂的なファンではありませんが、もし仮に映画の中の出来事が現実になったとしても、HIKAKINはあんな動画出さないと思います笑。
芸人枠
芸人枠として「品川庄司」の品川さん、元「キングオブコメディ」の今野さんが出演していました。
それぞれ出演時間は短いものの、重要な役どころ。
演技は特に悪くないものの、わざわざ芸人を起用する必要があったのかは疑問の残るところ。
枠の少ない俳優さんを使ったほうがいいと思うんだけどなぁ。
なぜか政府を信用する永井
車の中で政府の要人「戸崎」と交渉する永井ですが、その要求の1つが「妹を保護すること」。
全国民に嘘をついて、裏では非道な人体実験を「亜人」にしていた政府に大事な家族である妹の保護を要求することに違和感。
その後「こちらも信用していない」と前置きして、妹に何かあったら「戸崎の入院中の婚約者を幽霊で殺す」と脅迫します。
嘘つき国家に、脅迫する主人公。
なんだかなぁ。
それにしても「入院中の家族」多いな笑。
失笑ものの「とさきだ」
本作の「男前俳優」の一人、玉山鉄二さん。
いやホントに彼はああいうエリート役をやらせると、右に出る者はいないくらいハマりますね。
メチャクチャカッコ良かったです。
ただ、一点苦言を申し上げたいのは、永井との交渉時に
「私の名前はとざきではない、とさきだ」
と言うセリフについて。
漫画とかだと結構よく見るじゃないですか。
割とどうでもいいことにこだわって、空気を読まずに指摘するキャラクター。
戸崎もその中の一人だと思いますし、漫画だとそういうキャラクターは面白いとは思いますが、実写にすると途端にスベるんですよね、こういうの。
私は原作未読ですが、一発でわかりましたよ。
「あ、これ漫画の中で言ってるやつだ」
シリアスな場面だからこそ、余計に浮いちゃうんですよね。
原作を大事にするのは重要ですが、この辺りはもうちょっと考えてもらいたいところです。
殺し屋からの謎の信頼
フォージ製薬で佐藤を待ち受けるチームの一員、戸崎が雇った自称「金さえ貰えれば何でもやる」男。
強面で、明らかに「裏稼業のプロ」要するに殺し屋かその類だと思うのですが、その百戦錬磨の屈強な男からの、永井への絶大な信頼。
実績も強さも見せていない永井に対して、何を持ってそんなに信頼しているのかがよくわかりませんでした。
失敗したらほぼ確実に死ぬことはわかっているだろうに、「亜人」であるだけの永井に対して、プラン丸投げっていうのはちょっと理解できません。
千葉雄大どこいった
仲間を募集した佐藤に対して、集まった「亜人」の一人、奥山役の千葉雄大さん。
本作を彩る「男前俳優」の一人で、中盤はそのハッキング能力を駆使して活躍したものの政府側にすぐ見破られ、捕まってしまいます。
以降、出番なし!
千葉雄大、どこいった!!
となった視聴者は私以外にも少なくないはず。
凄い意味ありげなキャラクターでしたからねー。
何か伏線っぽい感じもありましたから、続編で活躍してくれるのでしょうか。
戸崎と下村の関係
これは完全に説明不足だったかなと。
おそらく原作では描かれていますよね、戸崎と下村の関係。
戸崎は政府の要人で、下村は「亜人」で戸崎の部下なのですが「絶対に戸崎を守る」というのがどこからくるものなのか、作中では描かれていませんでした。
時間の制約が大きな映画ですが、この辺りはもう少し掘り下げてもよかった気がします。
ヘリの音聴こえるだろ
最終局面、永井が佐藤にやられそうになっているその時、出動要請していた「対亜特選群」が到着するのですが突入まで佐藤が一切気づかないことに違和感。
動きや人物像から推察する限り、佐藤は特殊な訓練、それこそ軍隊経験でもありそうな人物ですが近づいてくるヘリコプターの音に気づかないってありえないですよ。
永井、モロ出し!
佐藤との熱戦を繰り広げ、凍結後、自身の腕から再生した永井ですが服も木っ端微塵になったため、当然全身素っ裸なんですよね。
しかしここが上手いところ。
「亜人」の能力である粒子を放つことで、大事な部分は見せません!
走り出す永井、ビルから飛び降りる永井。
粒子で股間は見えません!
まぁそれは良いんですけど、「亜人の粒子」って亜人以外には見えないんですよね。
ということは、飛び降りたあと地面に激突した永井は墜落死するわけですが、その後復活したら、公衆の面前で裸体を晒すことになっちゃいますね。
永井くん、どうするんでしょ笑。
「研修医」の永井があそこまでムキムキなのはなぜ?
「亜人」は鍛えなくてもナチュラルでムキムキなのか?
それとも単純に筋トレが好きな「研修医」?
「研修医」の永井があそこまで人間離れしたアクションが出来るのはなぜ?
「ムキムキ」なのとほぼ同じ疑問。
お医者さんなのに、っていうのは偏見かもしれませんが、それにしてもちょっと動け過ぎでは…。
「亜人」の能力なのでしょうか。
作中では特に説明がなかったので、気になるところです。
緊迫感のない戦闘
永井の「研修医」らしからぬ体術、カッコ良かったです。
常人ならぬ武器さばき、圧倒的なスキルを持つ佐藤、化物でした。
「亜人」から繰り出される幽霊は、最新のCG技術を駆使して物凄い迫力で戦闘シーンを繰り広げてくれました。
このように本作は戦闘シーンに力を入れており、その評価は高いものだと思いますが亜人が「不死身」があるが故、いまいち緊迫感がないんですよね。
いかにして殺すか、ではなくいかにして「動きを止めるか」。
なので物語の終盤は「どっちが睡眠薬を突き刺して、リセットされないかゲーム」の応酬になっていました。
きっと原作の設定に忠実なのかと思いますが、特殊な条件なら「亜人を殺せる」設定でも出てこない限り続編も「睡眠薬の応酬」の一辺倒だと、ちょっと厳しい気がします。
撃たれてるのに服に穴が空かない
あれだけ激しい戦闘をしてみんな服が綺麗すぎますよね。
撃たれたり首切ったりしてるのに、血の跡もほとんど無いですし挙句の果てには服に穴が空いていない。
(別にスプラッタ要素は望んでないです、あくまでリアリティの問題)
ハリウッド映画だとこの辺りはきっちり作り込んでくるので、どうしても気になってしまいます。
佐藤の喋り方が気になる
声優の「若本規夫」さん、もしくは「大塚芳忠」さんを意識しすぎではないでしょうか。
どちらも上手すぎる敵役声優さんとして有名なので、気持ちはわかるのですが…。
特に「大塚芳忠」さんはアニメで実際に、佐藤役を担当されていますので、妥当といえば妥当なのかもしれませんが、ちょっと引っ張られすぎている印象でした。
映画「亜人」の佐藤は何歳の設定?
調べたところ原作では「佐藤」って初老の男性なのですね。
映画でも髪の色を白っぽくしていたので、そういう設定なのかと思いましたがさすがに綾野剛さんは初老には見えません笑。
まぁこれが映画での「佐藤」ということであれば、そんなに違和感はないかもしれません。
作中では「20年間政府のモルモットになっていた」と語られていたのですが、一体何歳の設定なのでしょうか…。
だとするとあの白髪は…。
長年に渡る壮絶な人体実験によるストレスの影響でしょうか。
不死身の「亜人」もストレスには勝てないのか笑。
映画「亜人」|総評
ここまで色々述べたので繰り返しになることもありますが、総評です。
まずアクションですが、邦画らしからぬ素晴らしい出来だったと思います。
「佐藤健」「綾野剛」を起用したことが成功の鍵でしょう。
また「漫画原作の映画」は残念な出来になりがちですが、本作はその壁を上手く乗り越えていたと思います。
色々と疑問が残る点はありましたが、矛盾はほとんどありませんし世界観が丁寧に作り込まれていたと感じました。
一方、映画の宿命「時間制約」のため、説明不足だなと思う点はやはりありました。
今後作られるであろう続編で語られるのかもしれませんので、ここに関しては楽しみに待ちたいと思います。
最後になりますが、「映画『亜人』公式サイト」が現在見られなくなっているのはなぜでしょうか笑。